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沈香(ウード)を語る。香木を語る。香水を愛す。

皆さん、こんにちは!管理人のおもちで御座います。いやはや、香水について何回か取り上げてきましたが、ついに沈香(ウード)まで取り上げることになるとは自分でも驚いています。ウードってマニアックですよね。

香水好きの皆様でしたら、ウードとかOUDと記載のある香水を目にしたことがあるかと思います。

このウードについて今回は取り上げたいと思います。

沈香(ウード)とは

東南アジアの木からとれる樹脂。傷ついた木が樹脂を出し固まったものが沈香となります。

採取できる産地は決まっており、同じ木であっても他の場所では沈香となる樹脂は発生しないそうです。

そのメカニズムですが、一説には菌といわれています。何かの要因で傷ついた木にある種の菌が付着すると沈香特有の香りへと変化するそうです。

湿度なのか高度なのか温度なのか、複雑な要素でこの沈香のできる地域を限定的にしているようです。

(地球温暖化の影響もあり、そのうちにですがもしかしたら沖縄でも沈香が採取できる時期がくるかもしれませんね。)

東洋と西洋によって別れた香りの道

沈香が初めて史料に登場するのは「日本書紀」で、595年4月に沈香が淡路島に流れ着き、住民が燃やしたところ、よく香り朝廷に献上したことが記されています。また、宗教的な要素として、仏前の供香として用いられていたようです。

東洋も西洋も臭いを隠すために香りが使われてきました。また、現代と比べ、習慣としての入浴がなく体臭を消すために香りが用いられてきた経緯もあります。

西洋においてはハーブを用い、蒸留器の発明によってハーブのエッセンスを蒸留し抽出し香水へと至りました。

東洋では香木を用いた臭い消しを行うようになったとされています。
次第に香木を用いた香りの追求をするようになり、それが香道へと至りました。

香道における香木とは

香道における香木は基本的に三つ覚えるだけです。

白檀(サンダルウッド)、沈香(ウード)、伽羅(沈香の最上位のもの)

まずは白檀ですが・・・

半寄生常緑の喬木で高さは3〜4m、樹肌は灰白色で滑らかである。葉や樹皮はほとんど香らず、心材部分に甘みのある東洋調には欠かせない芳香がある。このサンダルウッドには変種が多いが、インド産のものが芳香性で高級品とされる。

●香調

インド産はソフトな甘いウッディ調のバルサミックな香気を有し、香気の持続性が著しい。産地により香りの特徴が異なる。

●産地

インド、インドネシア、オーストラリア、チモール、トンガ等。

引用元:日本香道様

香水でも白檀はサンダルウッドとして有名ですよね。

続いて、沈香です。

沈香となる原木には香気がなく、老木や土中に埋没した倒木、枯木のほか虫食い等の様々な原因で傷つけられた傷害木に真菌類が作用して、長い年月の間に薫香を発する樹脂が生成して沈香となる。沈香は字のごとく水に沈む木であり、比重が大きく香物質の樹脂分が多い。

●香調

甘味、辛味、苦味、酸味、鹹味などで表現される香りであり、また香木によりそれぞれ特有の香りがする。

●産地

ベトナム、カンボジア、インドネシア、ミャンマー、ラオス等。

引用元:日本香道様

最後に伽羅です。

沈香の最高級品を伽羅と呼ぶ。 ベトナムのごくわずかな地域でしか採出されず、非常に希少且つ高価な香木である。 現在も詳しいことはほとんどわかっておらず、沈香と伽羅の違いは含まれる成分の違いであると解釈されている。かつては天皇や将軍など、時の最高権力者、貴族や高僧、豪商といった人々しか香りを聞いたり、扱ったりすることができなかったほどの最高峰の香木である。

●香調

涼しさをともなった辛味や長く続く甘味、その他の酸味、苦味、鹹味とのバランスが大変よいとされる。

●産地

ベトナムのごくわずかな地域。

引用元:日本香道様

2023年の今現在の沈香は1g/100円くらいから購入することもできるのですが、伽羅は1g/50,000円前後とかなりの高額です。金やプラチナを遥かに超える金額です。(伽羅として熟成されたばかりの新伽羅ですと1g/20,000円くらいかなと思います。)

私も各産地の沈香(ウード)焚いてみましたが、大まかに別けると伽羅の採れるベトナム近辺のものは甘く重いように思えます。

少しベトナムから外れていくと辛みがあり軽いものへとなるように思えました

業界用語でタイ、カンボジア、ベトナムで採取される沈香(ウード)をシャム沈香と呼び、インドネシアの島々で産出される沈香のことをタニ沈香と呼びます。

シャム沈香は甘く重く、タニ沈香は辛く軽い傾向にあるようです。

香水でも沈香を取り扱うブランドがありますが、タニとシャムに分類するとなおのこと面白い気がします。

沈香(ウード)と伽羅の香りとは

香道における沈香(ウード)の香りの表現は六国五味とも言われ、五味は⽢(かん)・酸(さん)・⾟(しん)・鹹(かん)・苦(く)の五つで、香りはこの組み合わせや強弱によってさまざまに変化します。

沈香を焚いて香りを出すのですが、ひとつとして同じ匂いがないともいわれ、非常に複雑です。

この五味に産地の組み合わせがされます。

六国五味の六国の部分ですね。

この六国は・・・・

①伽羅

この伽羅については国名ではなく香木名。

②羅国(らこく)

諸説あるがタイ国。タイは当時、暹羅国(シャム)と呼ばれていた。

③真那賀(まなか)

半島マレーシア西海岸のマラッカ。

④真南蛮(まなばん)

こちらも諸説あるが、インド西海岸のマラバール。

⑤寸門陀羅(すもんだら)

インドネシアのスマトラ島。

⑥佐曾羅(さそら)

特定はされていないもののインドシナ半島の西方、ミャンマー周辺といわれる。

産地によって香りも違い、それを構成する五味も違うので、香りの表現はなお複雑になります。

そして、伽羅についてなのですが、実は伽羅の中で更に細分化されます

緑、紫、金、茶色、虎斑、赤、黄、白黄、白、黒、茶黄、鉄と細分化され香りもまた違っています。

実はこの色に該当する前の若い伽羅(新伽羅と呼ばれます)があり、香りの種類は非常に複雑です。

日本国内で一般的に流通しているのは緑で、次に手に入りやすいのが黒だと個人的には思います。

余談ではありますが、日本国内で手に入る伽羅は品質が良く安いという話を聞いたことがあります。
ですので、日本国内の伽羅も中国に買われていると聞いたことがあります。

緑の伽羅は甘さがあり日本人好みの香りと言われています。

黒の伽羅は重めで苦味の強いように思いました。

国内での伽羅は年々手に入りにくくなっていますので、もし聞けるチャンスがあれば聞いておくべきです。

香水における沈香(ウード)

上記でも沈香(ウード)の香りの表現の難しさについて述べさせていただきましたが、沈香(ウード)の香りは非常に複雑です。

あくまで私感ですが香水における沈香(ウード)の香りは主に甘くて重いものがメインだと思います。
シャム沈香の特徴を拾っている、もしくは香料の組み合わせによってそう感じるのかもしれません。

沈香(ウード)の香水で辛くて軽いものはあまりないのですが・・・

ぺリスモンテカルロというブランドのウードインペリアルは辛みと軽さの沈香(ウード)でした。珍しいと思います。

また、沈香を使っているブランドは数あるのですが、なかなかに難しいのが現状です。

沈香のどの産地で、どの香りを表現したいのかを、私は逆に問いたい時があります。

面白いブランドも勿論ありますけどね!

沈香(ウード)自体も沼ですので、突き詰めていくのも楽しいですよ。

私が香水で好きなノートはウード、アンバー、アンバーグリス、ウッディが好きなノートです。

沈香(ウード)と他の香料がミックスされ何とも言えない香りになっている時は恍惚です(笑)

では、今回はこのあたりで・・・

皆さんも是非、沈香(ウード)の世界に来てくださいね!


良い香りとは何か?というブログ記事も書いています。こちらからどうぞ。

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